さてと、ばっどさんのところのお題小説です。
今回でキリのいい、第10弾ということのようで、なんだかんだと、もうそんなに続いていたんでしたか。
ちょっとびっくりですね。
私は第2弾から参加させていただいているので、これを合わせると、もう9篇もの小説を書いたことになります。
毎回、のろのろながらもなんとか書いて、この企画のおかげで短篇が書けるようになったといっても過言ではありません。
未知なる短篇という分野(笑)を切り開くことができるようになって、この企画には、ただひたすら感謝感謝、です。
これからも20弾、100弾(いきなり)と体力の続くかぎり(笑)、続けていってもらいたいものです。

じつは夏ということで、きっとまた恒例のホラーだろうと思い、こっそりホラーを書いていたのですが(笑)、今回のお題が「世にも奇妙な○○」ということで(書いていたホラーもそれにあてはまりまることはあてはまりますが)、せっかくだから二年前に私の身に実際に起きた不思議な話を書いてみようと思ったしだいです。
私はあまり自分のことを書かない人なので、自分のことを書くというのは、少し照れくさくもあります。
でも、まあ、たまにはそれも良しということで、お付き合いいただければと思います。

ご存知の方もいるとは思いますが、私は神奈川県**市のマンションの三階で、ひとり暮らしをしています。
実家は歩いて十分という比較的近くにあるんですが、いちおう見栄と自己満足のために(笑)、ひとり暮らしをさせてもらっています。
かれこれ、八年くらいにはなっているでしょうか。
やってみると、ひとり暮らしはなかなか快適で、性に合っているらしく、そのおかげでか、かなり嫁き後れになっているようです(笑)
ま、それは置いといて(笑)、本題に入りたいと思います。

じつは私は、寝ているあいだによく金縛りにあうタチで、その金縛りにあっている間に不思議なことがよく起きます。
このあいだも、目覚めてみると、金縛りにあっていて、身体が動けなくなっていると、突然、声がするんですね。
複数(ふたり?)の男性の声が、ヒソヒソと聞こえてきて、そのひとりが突然、「しっ、人間がいる」というものですから、私はてっきり寝ているあいだに泥棒に入られて、それでここで寝ているのに気づかれてしまったと思って、「これってもしかして殺されるかも」と覚悟をしていたんです。
「ヤバイよ、写真つきで、新聞に載っちゃうよ」とか、マジに考えながら(笑)
私は寝るときに頭にすっぽりと、布団とかタオルケットとかをかぶって寝る人なので、あたりがどうなっているのか、ぜんぜんわかりません。
とりあえず、その状態で、しばらく硬直していました。
いつ、タオルケットが引き剥がされるか、びくびくしながら。
ま、金縛り状態だったので、そうしているしかないんですが。
ところがいつまでたっても、何も起こらないままで、それきり声も聞こえてきません。
それで、ふいに金縛りが解けたのを機に、おそるおそるタオルケットを引き剥がしてみたら、そこは真っ暗なままで誰もいない。
さすがにその夜は怖かったので、しばらく電気を点けっぱなしにしていました。
たしかに「人間がいる」という男性の声を聞いたはずなのに、というかその声が聞こえたから「殺される」とビビったわけで、なんだか狐につままれたようでした。
とりあえず、これはきっと気のせいだといいきかせて(笑)、あとはすっかり忘れることにしました。
いろいろ考えると怖いので、あまり深く考えないようにしています。
私の場合、嫌なことがあっても、一晩寝ると忘れてしまうという体質なもので、そこのところは、現代社会を生きていくには便利のようです。
たまに人の顔まで忘れてしまいますが(笑)
だから、あのことが起きたのも、こんな感じで、金縛り状態のまま、目覚めたときだったのでした。

二年前のその日もいまの季節のように暑い夏の日で、時刻はたぶん明け方頃だったと思います。
暑くて寝苦しかったのかもしれませんが、そのとき、私はまたしても金縛り状態で目覚めてしまったのでした。
そのときは、あまりの暑さに頭からすっぱりとタオルケットがかかっていなくて(笑)、金縛り状態ながらも、まわりの情景がよくみてとれました。
みると、足もと付近に女性がいるのです。
その女性は何かを手にしていて、なにやら狂乱状態で叫んでいます。
「赤ちゃんが……赤ちゃんが……」
そのとき、私にはそう聞きとれました。
いまはちょっと書いているだけで、ぞっとするんですが、そのときはなぜか怖いと感じませんでした。
これは不思議なことなんですが。
どうやら、女性が手にしているのは、赤ん坊のようで(ここのところはよくわからなかったのですが)、その赤ん坊に何かがあってらしくて、女性は狂乱状態なのだと、私は瞬時に悟ったのでした。
けれどもどうするすべもないまま、やがて金縛り状態が解けました。
目覚めたそこは、夜明けが近いのか、うっすらと明るくなった、いつものみなれた部屋です。
もちろん、女性なんかはいません。
「いったい、なんだったんだろう」と思って、いちおう母にだけに、「なんか、変な夢みちゃったよ」と、この話をしました。
そして、また一晩寝て、すっかり忘れて(笑)、二ヶ月が経ったころ、その答えがやっとわかったのでした。
私の住んでいるマンションは、じつは知り合いの方が大家さんで、同じマンションの二階に住んでいます。
その方は五年前に結婚していて、つい二ヶ月前に、奥さんが子供を出産していたのでした。
ところが産まれてみると、その子供は死産だったというのです。
それを聞いたときが、母と一緒にいるときだったので、思わず、お互い顔を見合わせてしまいました。
「二ヶ月前って、もしかして、あのときの金縛りのときの──」
そう思って、たかめてみると、はたして、夜明けまえの出産だったようです。
詳しい日にちは忘れてしまったけど、だいたい二ヶ月前だということで、ちょうどその奥さんが赤ちゃんを死産したときと一致したようでした。
「ラジオやテレビの電波のように、あまりの哀しみに、その映像が、私のところに伝わってきたのかな」
と、トンデモ科学的?に分析したものの、いまでも本当のところはよくわかりません。
もしかしたら、貞子の原理かも、と、いまではそんなことを思っています(笑)

事実は小説よりも奇なり。
世の中、不思議なことって、いろいろとあるもんです。
ということで、「世にも奇妙な実話……かもしれない」
お粗末さまでございました(笑)